自分の家族の話です。その子はとある会社に勤めたところ、夜勤を命じられました。16時から11時までの勤務で、書面上は休み時間がありますが、実際は食事も利用者様と一緒に摂るような、とても忙しいところのようでした。夜勤明けの日は休みですが、次の日は早出(5時出社)といったとてもシフトが厳しいところでした。
夜に眠れなくなるのは、時間の問題でした。病院で眠る薬(ベンゾ系)では眠れずに、お酒を飲み、眠っていたようです。その後、会社に行くことができずに、うつ病を発症しました。
ルボックス・デプロメール・パキシルなどいろんな薬を処方されました。中には飲んでも効き目がないものがありました。その中で一番効果があったのは、三環形抗うつ薬「アナフラニール」でした。
意欲はメキメキあがり、新しい会社に勤めることができるようになりました。常にやる気にみち、よく体が動き、上司からの評価も上々で、大きな研修への参加の機会も与えられ、これでもう大丈夫と、ほっと胸をなでおろしていたところ、異変が起き始めました。
薬の副作用で、異常に水を飲むようになったのです。当時、2Lの大型ステンレスボトルに氷をぎちぎちに詰めたお茶を、1日5杯も飲むようになりました。当然、おしっこは毎回滝のようにバシャバシャと多量に出ていました。トイレの外から排尿の音が聞こえるような、それは、すごい量でした。
また、会社の不平不満を抑えきれないようになってきて、帰宅すると、ほか職員のことを大声でののしり、罵倒するといったことが増えるようになりました。そのころ、ネットのゲームにのめりこむようになりました。つまるところ、感情や、欲求をコントロールすることができなっていたようです。
テンションが常に高く、行動的で、何かあると、ベンゾ系の安定剤をカパッと飲んでやり過ごす。そんな日が続きました。いつまでもそんな風に過ごせるわけもなく、ある日、お酒を多量に飲んで動けなくなりそのまま入院となりました。
今思えば。抗うつ薬はしっかり効いたのですが、効きすぎて、躁転したのではないかなと思います。薬の作用で疲れや、感情がコントロールできずに、それをベンゾ系の薬で抑えるといったといったやり方はよくありません。
抗うつ剤は、効かない人も多いと聞きます。命の危険が差し迫っているときは、お薬は、とても心強い味方になります。
一方で、いわゆる、心の病気は、お薬だけでは完治しないといった側面もあります。症状に対しては「効果がある」が、「根本治療」ではないことを知りました。現在その子は、「認知l行動療法」をへて、いろいろと躓きながら、今生きています。
抗うつ薬もなくなり、現在、ベンゾ系のお薬も弾薬まであと少しとなりました。もともと、おとなしい、優しい子です。抗うつ薬はとても大切。だけど、頼り切るのもよくありません。安定剤も含め、必要性をしっかり見極めて使うことが何より大事なお薬であると感じます。