私は、記憶があるだけでも中学生あたりから、「どこかに出かける日」「何か特別なイベントがある日」に限って体調を崩す子どもでした。それを特に気にしていた訳ではありませんでしたが、カラオケのような密室に入ったり電車やバスなどの乗り物で移動すると、途端に吐き気が襲ってくるのが当たり前だったので、友達からの遊びの誘いは無条件で断り続ける日々を送っていました。
そんな私も大学生になりましたが、大学は自宅から電車で片道2時間半もの距離にあり、毎日毎日、吐き気と体調不良をこらえながら大学に通うしかありませんでした。水を飲めば楽になる気がして水筒は必需品(忘れた日は地獄)、それでもどうにもならない吐き気、そして動機や冷や汗…。ただでさえ苦手意識のあった電車が、もはや「恐怖」になっていました。でも、それを「我慢するのが当たり前」だったんです。
そんなある日、母から「テレビで○○(芸能人)が‘パニック障害‘だって言ってたけど、あなたの症状に似てない?」と教えてもらいました。インターネットで調べてみれば、吐き気や動機、不安感、冷や汗…全て自分に当てはまり、初めて自分が「パニック障害」ではないかと知りました。
まさか病名があるとは思いもよらなかったので、症状が少しでも良くなる方法があるのならと、すぐに心療内科にかけこみました。優しい女性の先生に話を聞いてもらい、そこでは「パニック障害」と断言されることはありませんでしたが(心の病気は複雑な問題なので、その病院では病名を断定しないそう)、出していただいたのが「ジェイゾロフト錠」という抗うつ薬、そして「ワイパックス」という抗不安薬です。
ジェイゾロフトは毎日決まった時間に、ワイパックスは特に不安な時や吐き気が出た時などに頓服として飲んでくださいとのこと。その日から、言われたとおりに毎日薬を飲み続けました。最初のころは、もちろんすぐには良くならず、ジェイゾロフト錠に加えて頓服を飲むことがほとんどでした。
ですが、不思議なことに、気づけば「あれ?普通に電車に乗ってる…」という状態まで持ち直していたのです。良くなった!楽になった!という実感はなかったものの、気づけば頓服を飲むこともなく、普通に大学と自宅を往復できる日が増えていました。
どう考えても、薬(ジェイゾロフト錠)のおかげだと感じました。「これを飲めば大丈夫」というお守りのような安心感さえ、薬にもらった気がします。親身に患者の事を考えてくれる先生のおかげで、だんだんと薬も少なく処方してくれ、今では全く薬を飲む必要がないまでに快復。パニック障害は「完治」することがないらしく、まだ時々軽い発作が出るので、頓服で抗不安薬は飲みますが…今では電車にだって長時間乗れます(先日は新幹線で5時間も移動!)。
我慢するのが当たり前だった辛い症状が、こんなに楽になるなんて…もっと早く「薬を飲めばいい」と知っていれば、もっと友達ともたくさん遊べたかもと後悔の気持ちもありますが、今、やっと普通に暮らすことができて本当に嬉しいです。