会社へ毎日通うということ、それは健康な人間にとっても楽なことではありません。まして、うつの症状のある方にとってはより困難と言えるでしょう。
朝に症状が強く発現する方も多いため、まず出勤に支障をきたすようになります。1日休むと徐々に休みがちになり、連続して休む日数も2日間、3日間と伸びていきます。その頃になると有給休暇がどんどん消費されています。
昨今のコンプライアンスを重視するような会社においては、何かしら面談などの話し合いが持ち掛けられるでしょう。
会社側から問われる事項として考えられるのは、まずは生活が規則正しく行えているのかという点です。まれにネットやゲーム等で生活リズムが大きく崩れているために朝起きられず、仕事を休みがちになっている人がいるためです。
生活に問題がないということであれば、次に問われるのは、業務上の問題を抱えているのか、ということです。
上司や同僚からハラスメントを受けている、こなし切れないほど膨大な業務量を抱えている等を確認されます。もしハラスメントがあれば、社内外のコンプライアンス窓口等を紹介されます。業務量が多過ぎてパンクしているということであれば、部署内での業務の偏りを見直し、改めて再配分が行われます。
これらのハラスメントや業務過多がうつの原因の一因となっている方もいらっしゃるので、慎重に現状の確認を行う必要があります。多くの方がここまでの部分で何か心当たりがあるので、会社はそれらの調査や改善に動きます。
しかし、実際にはそれだけで急に会社へ通えるようになることはあまりないかと思われます。
そうすると、会社からはあわせて医師の診察を受けるよう勧められることになります。診断により病名が付くこともあれば付かないこともありますが、社内の産業医やメンタルヘルスに関する窓口等も活用できるようになり、支えてくれる人間が増えるというメリットがあります。
更に会社からは、しばらく休職してみるよう打診されるかもしれません。同時に医師や社内の支援窓口からも、休職によりリフレッシュできるというような助言があるかもしれません。
ただ、休職を承諾する前には、必ず確認しておく事項があります。
「休職期間はどのように定められているか」
「後になってから再度休職期間を延長することはできるのか」
「休職期間が終了した後の時短勤務など緩和措置はあるのか」
「給料が何割かカットされるのかそれとも無給か」
「どの規定の範囲を外れると解雇の可能性が出てくるのか」 などです。
会社の規定により異なりますので、休職に踏み切る前にしっかりと制度を理解して検討することをおすすめします。
会社は冷たく切り捨てるイメージをお持ちで、孤立無援な気持ちになっているかもしれません。しかし、いざ制度を活用してみると、想像しているよりは真摯に対応を取ってくれますし、休職後にも温かく迎えてくれるはずです。
無事に復職して、再び業務で活躍されている方も数え切れないほどいらっしゃるので、ぜひ用意されている制度は何でも上手く使い、少しでも過ごしやすい環境を築きましょう。