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抗うつ薬の体験談【「億劫感」とアモキサン】

うつの症状というのはいくつもが重なっているのもので、診察の時にはその時々の困りごとを箇条書きにして行き、症状一つ一つに合う薬を2、3種処方してもらっていました。

例えば意欲が湧かないとか、眠れないとか、気分の上下が激しいとか、本当にいろいろあります。
眠れない一つ取っても、入眠しにくいとか、途中で目が覚めてしまうとか、逆にいつまでも寝過ぎてしまい生活に支障があるとか、日中もずっと眠いとか、困りごとを詳しく相談することにしていました。その微妙な調整を薬の量や飲むタイミングで改善してくれた主治医には本当に感謝です。

そんな中で、ずいぶん回復し気分は落ちなくなった、悲しくなったり死にたくなったりはしないけれど、どうしてもやることを後回しにしてしまいその焦燥感や自責感で苦しい…という状況になった時に処方されたのがアモキサンです。

後回し癖は、のちに発達障害の一つの特性であることも分かり、病気ではないということで気持ちも楽になりました。そのプロセスで「後回ししても差し支えないようなゆるい生活をするように」というアドバイスで、薬とマインド両面からアプローチしたものです。

しかしいくら後回しが特性と言っても、お風呂に入ろうと思うだけで悶絶するというのはやはり病的で、本当に悩んでいたのです。その困りごとを相談してアモキサンを処方された時、この症状が「億劫感」というものなのだということも知りました。

「億劫感」は生活するにはかなり差し支える症状です。しかし自分はこれを「ヤル気のない、だらしのない、ダメな性格の、自分のせい」だと思い込んでいました。だから症状の一つとしてそれに適する薬があると言われた時、二重の意味で救われたのです。

前述の通り、億劫感は後回ししてしまう特性と重なる部分もあるため、なかなか長引きました。けれど服薬と並行して考え方を変えていくうちに徐々に卒業していけました。
アモキサンは長いこと飲んでいましたが副作用もそれほど感じず、断薬もスムーズでした。

うつ病を克服するには、本当にきめ細やかさと根気が必要だと、今になって思います。本人は「しんどい」としか言えない表現できないものを、一緒に分析・分解していって、それぞれの症状を丁寧に潰していく作業。あまりのしんどさに早く何とかしてくれと、一発で元気になる特効薬を求めてしまいがちです。

本人も家族も…。そこを治療の見通しを説明し「この薬はこの症状にアプローチする、それが良くなったら次はこういう作戦で行こう」と説得力のある伴走をしてくれるのが、信頼できる処方と医師だと思います。