10年近く前の話になりますが、憂うつな状態が続いたため、通勤先の近くで心療内科にかかりました。問診の後、うつ病と診断され、メインの抗うつ薬としてサインバルタを処方されました。併せて、今は名前が変わっているようですが、ユーパンという抗不安剤も出ました。
サインバルタは少し大きめの錠剤で、薬のパッケージに増薬スケジュールの説明に加え、各錠剤のところに〜日目と印字されていて、ずいぶん親切だと感じた覚えがあります。しかし、私の抗うつ薬を使った治療に対する認識の無さから、途中で服用をやめてしまい、結果後になって症状を悪化させてしまいました。
サインバルタはそういう意味で私にとっては長い思い出の薬です。失敗の理由は2つあります。1つ目は、効果がすぐに現れると思い込んでいたことです。サインバルタは、私にとって初めての抗うつ薬でした。風邪をひいたときの咳止めや解熱剤のようにすぐに効果が現れるものとどこかで思っていたのだと思います。もちろん、医師からは徐々に薬を体の中に入れていくという説明は受けていました。しかし薬を飲んですぐに自分の憂うつな感じを軽減させたいという気持ちから、薬を飲むことの重要性を感じられなくなってしまいました。
また、病院を勤め先の近くにしてしまったことが2つ目の理由です。診療を受けるためには職場方面までいかなければなりません。しかし、仕事に行くだけでも億劫であるのにさらに病院まで行くのはなかなかハードなことでした。まだわからないことだらけの状態であったからこそ、すぐに相談できるように自宅の近くの心療内科を選ぶべきでした。
そういうわけで、当時の私は初回に出たサインバルタを飲み切れず、結果的に症状を悪化させてしまいました。処方の通りに飲めなかったため、効果も副作用も感じられませんでした。その後、症状の悪化とともに改めて診察を受け、パキシルによる投薬治療が始まりました。
今度は前回の服用の失敗の反省から、服用に際し家族からの全面的なバックアップを受けるようにし、なんとか寛解までこぎつけました。なお、パキシルについては処方通りの服用のお陰で憂うつの軽減も実感できましたし、その反面、手の痺れや健忘などの副作用もしっかりと実感しました。
ただ、副作用があるということは薬が作用しているという医師からの言葉もあり、また家族の協力もあり、信じて飲み切ることができました。この経験から、抗うつ薬を使った治療には、処方通りに薬を飲む体制を作ることが重要であると学びました。