うつ病・抗うつ薬の体験談を500件以上公開しています

抗うつ薬の体験談【パキシル】

鬱症状を自覚し始めたのは2007年頃でした。

ADHDの二次障害として鬱を発症していました。
「鬱になると自殺したくなるはずだ。自分は自殺したくないから鬱ではない」と、ずっと思い込んでいました。

どうしようもない不安や恐怖、やる気の無さや体力の低下、後ろ向きなことばかり考えてしまう日常を変えるには、ADHDを改善することだけが手段だと思っていました。

ネットで浅知恵をつけた私は、症状の改善にサプリメントを選びました。その時「効いた」と思ったのは、セントジョーンズワート、チロシン、グルタミンなどです。そういったサプリの情報を調べるうち「抗うつ剤」についても若干の知識がつきました。

2011年の東日本大震災のあと、とうとう日常生活がまともに送れないくらい症状が悪くなりました。このままでは憔悴して死んでしまうか気が狂ってしまうと考え、心療内科を探し回りました。しかし、どこに問い合わせても初診は1ヶ月待ち。このまま死ぬのかと思いました。唯一、すぐ来てくださいと言ってくれた神経内科があり、わらをもすがる思いで受診しました。

しかし、心療内科と神経内科って、どうも微妙に違うのかもしれません。その時の私はボロボロに泣いて、ろれつも回らず、自分でも何をどうしたらいいのか解らないくらい混乱していました。メンタルカウンセリングとか、そういうものを期待していたのかもしれません。

しかし、面倒くさそうに話を聞いていた医者は私の話を遮り、「パキシル出して」と看護師に伝え、それきりでした。抗うつ剤について若干の知識があったせいか、いきなりパキシルを処方されたのはショックでした。

パキシルは依存性があり、断薬するのにも副作用に相当苦しむという印象がありましたので、服薬するのもかなりの決意がありました。最初は体に合わず吐き気や頭痛が起こるかもしれません。「2錠」と処方されましたが怖かったので1錠から始めました。

幸いにも体の変調は起きませんでした。そして、驚くほど感情が平坦になりました。それまではわけの分からぬものに怯えて常にびくびくオドオドし恐怖に包まれていたのですが、そういうものを全く感知しなくなりました。

その代わり、ご飯が美味しいとか、花がキレイだとか、そういった感情すら沸かなくなりました。完全に感情が死んで、ただそこに「いる」だけの存在になりました。いま考えると大変恐ろしいことですが、当時は「恐怖感」が無いというだけで心も体も大変ラクだと感じました。(いやラクになったという感情さえ無かったと思います)

神経内科には合計3回しか通いませんでした。いつも事務的なことしか言わない医者に不信感がありました。パキシルは1錠ずつのんでいたのを半錠に変えました。本当は自己判断で減薬してはいけないのですが、それ以上にその医者が信用できませんでした。半年ほど服薬したところで手持ちのストックが切れましたが、あの病院に行くのが嫌でそのまま終わりにしました。

その後、なんとか平穏に生活ができるようになるまで1年ほどかかりました。時にはどうしようもなく心が荒れて、「またパキシルを飲んで感情を殺したい」と思うときもありましたが、そんな自分をなんとかいさめることも出来るようになりました。

あれから随分経ちましたが、結果として、すぐ診てもらえるほど人気のない半端な病院に行って良かったのかなと思います。もし献身的に診てくれる病院だったら、先生やカウンセラーに甘えてずるずる長引き、いろいろな抗うつ剤をハシゴしてもっと悪化したのかもしれない、とさえ思います。

関連記事

パキシルについて脳内の神経伝達をつかさどるセロトニンの働きを強めることにより、抗うつ作用や抗不安作用を示し、憂うつな気持ち、突然の激しい不安、強迫観念、人前での過度な緊張などの症状を改善します。通常、うつ病・うつ状態、パニック障[…]

パキシル