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抗うつ薬の体験談【サインバルタ】

私はサインバルタという抗うつ薬を飲んでいた時期があります。怒鳴り声や体罰が当たり前の環境で育ったせいか、私は子供の頃から急に心臓がドキドキして苦しくなったり、大人と話す時に怖くなって頭が真っ白になることがよくありました。


社会人になってから同僚に心療内科の受診を勧められて病院に行ったところ、「社会不安障害」と診断されました。そこで処方されたのがサインバルタです。うつ状態や強迫観念を和らげてくれる効果があるが、軽い副作用もあるということで初めは少し不安でした。

私の場合、服用初期は副作用があり「我慢できないほどではないが違和感がある」という感じでした。まず周囲の音や自分の声が小さく聞こえ、周りが静かになったような感覚がありました。頭がぼーっとし、時々耳鳴りがしました。また表情筋に力が入らず、同僚からは以前より無表情になったと言われました。

しかし、ちゃんと改善されたこともあります。まず急に心臓がドキドキしなくなったことです。自分の心臓の音が聞こえないのでむしろ「普通の人の心臓はこんなに静かなのか」と少し驚いたほどです。そして大人と話している時に頭が真っ白にならなくなりました。嘘みたいですが、本当にサインバルタを飲んだ日からこれらのことが急に改善されたのです。

服用を始めて1か月ほど経った頃には副作用もだいぶ治まり、頭の中もすっきりして過ごせるようになりました。サインバルタを飲み始めてから自分で気づいたことがあります。それは「自分は不安定で気分が沈みがちだった」ということです。

確かに私の今までの人生で「着ていた上着をハンガーにかけるのがしんどい」「しんどくて何もやる気が起きない」というような場面がよくありました。でもそれは子どものころからそんな感じだったので、「私は人よりめんどくさがりな性格なのだ」とずっと思っていたのです。

ですが、これらのこともサインバルタを飲んでからはほとんど思わなくなりました。上着をハンガーにかけるのってこんなに簡単なことだったのかと感動したぐらいです。病院の先生によると、怒鳴りつけられて育った子供は、情緒的に不安定になりやすく、気分が沈みがちな大人になりやすいので、それらの症状もサインバルタで改善されたのだろうとのことでした。

精神疾患の薬は体に悪影響を及ぼす、といったマイナスイメージを持っている人も確かにいます。しかし、私はサインバルタを飲んで良かったと思っています。苦しくなくなって、穏やかで、生きやすくなったからです。心療内科を受診されている全ての方が、自分にあった薬に巡り合えることを願ってやみません。