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抗うつ薬の体験談【エリスパン】

一般的に、鬱や精神薬を飲む事に抵抗がある人は少なくないかもしれません。何より、それを必要とする事を自分自身が認めたくないのかもしれません。

私は病気の中で何よりも鬱が怖いと思います。 どんな病気でも、希望や楽しみ、喜びなどの前向きな気持ちがあれば、その人にとって意味のある1日1日を送る事ができます。

ですが、鬱になってしまうとその1日を過ごす事が、1日を生きる事自体が辛いのです。前向きな考えは浮かんでは消え、過ごす時間に意味がないのです。こんなにしんどい事はありません。

胸の奥に鉛が落ちていくような感覚です。自分でその鉛を持ち上げる事が出来ないのであれば、薬の力を借りてでも思考力を取り戻していかなければいけません。

鬱の薬は、1種類ですぐに効くものではありません。あまり効かないと医者に答えれば、おそらくどんどんと種類を増やされるでしょう。私は睡眠薬と併用して5、6種類の薬を1日に飲んでいた事があります。薬に生かされているような気持ちでした。

薬に生かされていると言うのは複雑な気持ちですが、それを飲まなければ”不安”という正体のわからないものに押し潰されそうになり、いてもいられない気持ちになります。

私は鬱の時に、父から「精神科の病院はきちんと調べたのか」「カウンセラーではなく医師免許のある先生にしてもらった方が良いのではないか」等しつこく言われ、初めて父親に対し泣きながら怒鳴り返した事があります。

母は私の背中をさすりながら、一緒に泣いてくれていました。今でも鮮明に覚えています。 私を心配して言ってくれていた事なのに、私はそれを未だに後悔しています。 鬱は自分の感情のコントロールも奪っていきます。

薬に頼ってでも、生きて、意味のある時間を過ごし、そのストレスとなる自身が鬱となった原因と向き合わなければいけません。いずれはそれらの薬から離脱していかなければいけません。

薬には依存性があり、種類を減らしていく事は困難で、一気に減らしてしまえば必ず反動が来ます。

私はリーマス、ユーパン、デパスなど様々な抗うつ剤を飲みましたが、最後まで、エリスパンという自律神経を整える薬は手放せませんでした。まるで麻薬のようですが、これを飲めば楽になる、それを知っているからこそ手を伸ばしてしまいます。そこに浸ってしまうといつまでも鬱からは抜け出せません。

なかなか体調が回復せず、薬に生かされていると感じながら処方された大量の薬を飲んでいる時、ある先生が言いました。「薬はね、あなたの身体を完治させるんじゃないよ。まずはあなたの生活からね」それで私はハッとしたのです。薬ばかりに頼って、自分では何もしていなかったことに。

抗うつ剤はあくまで自分を保つ為のサポート薬であって、鬱を治してくれるわけではありません。生活、食事、環境を自分自身が見直さなければいせません。

抗うつ薬は、鬱という病気と向き合う為の少しの思考力を与えてくれます。鬱から少し抜け出せると、全く違う世界が見えてきます。

抗うつ剤を処方された時、自分は精神病だと悲観せずに、きちんと服薬しながら自分自身の思考力を取り戻して欲しいと思います。鬱になれば死にたいと思う事があるかもしれません。でもそれは病気が、脳が、ホルモンがそう考えさせているのです。

抗うつ薬を服用し、少しずつ思考力が付いてきたら、抗うつ薬と上手く付き合いながら自身の環境や身体を整える準備をして欲しいと思います。鬱の原因と向き合う力が出てきたならば、抗うつ薬は少しずつ種類を減らしていき、最後の一錠を離脱出来れば、晴れて鬱を克服できたことになります。

鬱は本当に怖い病気です。手術では治りません。目に見えるものではないので他人にはわかりません。自分を保つ事が難しい時は、ちゃんと精神科もしくは心療内科に行き、薬を貰って下さい。自分だけでどうにか出来るものではありません。悲観せず、病気と向き合って欲しいと思います。


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