抗うつ薬は多くの種類がありますが、今回SSRIという種類のもの、具体的には「デプロメール」と「パキシル」について、同種類に分類される薬でありながら顕著な副作用の差が現れたことについて、その体験談をお話ししたいと思います。
まず現在、私はSSRIとして「パキシル」が処方されており、この薬は私にとって良く合っている薬であると感じています。
「パキシル」との付き合いはかれこれ15年ぐらいと長くなります。ただ処方・治療が長期に渡っていることに関して、薬の効果の問題ではなく、私の病状の問題であることをはじめに断っておきます。
初めてのSSRIの処方は「デプロメール」でした。服用を始めて1日半から2日ぐらいで酷い副作用が現れ、結果としてすぐに処方中止となりました。
具体的に副作用としては“酷い吐き気”です。この時まず考えたのが、薬を飲まない時間が少し長かったために禁断症状が出たのではないかということです。そのためすぐに薬を飲みました。
しかし、実はこれは禁断症状ではなく副作用であって、薬を追加で飲んだことが災いして、さらに副作用を助長する結果となりました。
幸いにも食べたものを戻すというところまではいかなかったのですが、2日ほどは食べ物を口にする気になれず大変辛かったことを記憶しています。
次に出された「パキシル」については、飲んでいて目立った副作用はなく、処方当初から上限の40mgの処方で、現在は30mgの処方となっています。
この薬は断薬が難しいことが有名ですが、寛解状態ではなかったものの私自身の判断によって断薬を試みたことと、医師の指導のもとに減薬を行ったことがあります。
パキシルの減薬・断薬時に生じる副作用として“シャンビリ”と呼ばれるものがあります。私も例に漏れずこの症状を体験しました。
“シャンビリ”の“シャン”は耳の奥の方、頭の中の脳の表面で“シャンシャン”と鳴るような症状です。また“ビリ”は体の皮膚や筋肉が“ビリビリ”とするもの、これらの症状は体を動かすとより顕著に現れます。
横になっていると少し症状がマシですが、ちょっと立ち上がるとこれらの症状が強く出ます。
この症状が我慢して乗り切ることのできるものかというと、いきなりの断薬の場合、とても我慢できるものではありません。したがって、医師の指導のもとに断薬を行う際には時間をかけて減薬を行っていきます。
“シャンビリ”以外に、“感情が豊かになる”という症状があります。私の場合、非常に涙もろくなりました。
楽しい感情についてはそれ程感じなかったのですが、悲しい感情に対してとても敏感になり、テレビのドキュメンタリーやドラマを観てよく泣いていました。嗚咽するぐらいの状態でした。
パキシルという薬はかなり感情を抑え込む薬なのかもしれません。
以上、同種の抗うつ薬で生じた副作用の違いと、パキシル断薬時の症状についてお話しさせていただきました。参考になれば幸いです。