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うつ病の体験談【大好きな仕事だったのに「うつ」になりました】

うつ病にかかり、少しずつ社会復帰をしている私の体験談です。

大学を卒業し、大手アパレルメーカーに就職しました。

洋服を着るのも作るのも大好きだったので、本当は制作部門に勤めたかったのですが、まずは現場からと言われ販売員に配属となりました。

学生時代にはアルバイトで接客業は経験していましたし、特にトラブルを起こしたこともなかったので初めは苦ではありませんでした。

情熱を持って取り組めていたかと言われればそこまでではありませんでしたが、好きなブランドの洋服に囲まれて働くことはとても嬉しかったのを覚えています。

新人は色々な研修を兼ねて何ヶ月かごとに転勤がありました。3つ目に転勤となったお店でも暖かく迎え入れていただきました。

今までは百貨店の中に入っていた店舗でしたが、今度は路面店です。ブランドのファンであるお客様が多く、一人のお客様が買われる金額も大幅に上がり、今までとは違い要求されるレベルがだんだんと高くなっていきました。

外国の方への対応も増え、外国語を始め専門知識などたくさん勉強しなければならないことも多かったため、家に帰ってからも勉強の日々でした。

充実していたはずなのですが、このころから何か空しさのようなものを感じるようになりました。自分にできることは努力してやっていたつもりでしたが、上司の方に厳しく叱責されることも増えていきました。

その度に「頑張りがまだまだ足りないんだ」と思い、自分を責めるようになりました。今思えば、上司の指導は正しいことがほとんどでしたが、たまに八つ当たりのように怒られていたことも確かです。

冷静に考えれば真剣に向き合う必要のないことだとわかるのですが、渦中にあった私にはわかりませんでした。

段々と、売り場に立つのが、人に見られるのが、職場に行くのが、電車に乗るのが、朝起きるのが辛くなっていきました。

ある日の仕事帰り、電車を待っていた私は「今一歩踏み出せば明日会社に行かなくてもいいんだな」と思い、ホームのぎりぎりに立っていました。怖いと思いませんでした。明日が来ることの方が恐怖だったのです。

しかしふと我に帰り、実家に電話をかけていました。電話口の母に今日の晩御飯は何かと聞き、平日ど真ん中の夜にもかかわらず遠い実家に帰ると告げました。

そしてそのまま会社を辞めました。何日も仕事を失敗しては叱責を受け否定される悪夢にうなされ、汗だくになって目が覚めました。眠るのが怖くなり眠れなくなりました。

好きだったテレビ番組にも興味がなくなり、味覚が消えました。病院に行く元気もない私を母が半ば引きずるようにして連れて行ってくれました。

そこで初めて自分が「うつ」であると知りました。今は服薬とカウンセリングのおかげでかなり回復しましたが、毎日毎日死にたい、消えたいと口にして親を泣かせてしまうこともありました。

本当に出口の見えない闇、地獄のような日々でした。でもきちんと自分の症状を認めて向き合うことで良くなることができました。