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うつ病の体験談【時間は有り余るもの、余る時間でなにをするか】

映画『ミッドサマー』はもうご覧になったでしょうか。主人公ダニーの視点から見る景色は、精神を患っている人には見覚えがあるほど、精神病の再現度が高いのです。

美しい景色のはずなのに、どこかくすみがかっていて彩度が低い。周囲が自分を笑っているように思える。

自分を殺してでも周りに合わせないといけないという強迫観念に駆られている。ダニーの思考はあまりに我々と似すぎていて、だからこそ彼女が本作で辿る運命にひどくショックを受ける、そういった作品です。

くれぐれも現在精神的に弱っている人、うつ病・パニック障害・統合失調症などの精神病を患っている方は見ないでください。下手をすればその人の後押しをしてしまうかもしれません。

ただでさえ、精神的に弱っている人は自分を追い詰める情報を摂取したくなる傾向にあります。おなじうつ病の人の体験記を読んだり、精神病を患っている人のSNSアカウントをフォローしたり、心痛むような事件をわざわざ調べて傷ついたり……。

類は友を呼ぶといいますか、SNSの特性といいますか、筆者の周りにも精神的に弱っている人が多くいます。そして弱っている人ほどなにかに怒ったり嘆いたりして、疲れて動けなくなっていきます。その繰り返しです。

ではそういった情報を見なければいいのですが、そもそもうつ病になって苦しんでいる人は、暇に苦しんでいます。 そういうときは、とにかく休んで!という文言をよく聞きますが、それができないから苦しいのです。

自分はこうして生きているだけで、時間を浪費する役立たずで、苦しい状況から早く解放されたいのに、何もするなとはどういうことだと怒りたくもなります。

楽しいことに目を向ける体力がありません。そもそもそれを楽しいと思えません。楽しいと思えても、それに取り組むまでに体力を使い果たして「結局自分はなにもできなかった」と苦しみます。

そうすると、手軽に情報を手に入れられるスマホに目がいきます。ゲームは頭を使うからできません。ストーリーがあると、物語を追うことにも疲れて頭に何も入りません。

その点、スクロールするだけで刺激的な情報が手に入り、深く理解する必要もないSNSとは実に良い暇つぶしになります。

そのなかで精神病について理解を深めれば自分の役に立つように感じられますし、憤慨すべき事件を目にすれば怒ることでストレス発散ができます。

SNSにいることで、自分は一人ではないと孤独感の軽減にもつながります。特に、おなじ精神病の人を慰めたりアドバイスするときは「自分は役に立っている」という気持ちになれました。

相手の状況も知らない、精神病の人への正しい対応も知らない素人なのにです。少なくとも筆者はSNSがあることで幾分救われました。しかし刺激的な情報につながりすぎて迷惑をかけてしまっていたことも事実です。

もし筆者と似た状況にある人がいるなら、SNSをやめろとは言わないので、悲惨な事件や怒っている人には目を向けないようにしてください。

普段より動ける日があれば、自分の好きなもの以外目に入らない環境をつくり(Twitterならリスト作りがおすすめです)、具合が悪いときはそれを見てください。

SNSを見ることも苦痛なときは、無心になれる手作業がおすすめです。鉱石の研磨、刺繍、折り紙、タイピング練習など、単純な作業がいいです。

筆者は黙々とバラの折り紙を折り続けてたり、パターンの決まった箱庭ゲームで黙々と終わらない夏休みを過ごしていたりしました。

目に見える絶対的な成果があること、誰にも何も言われずに没頭することは気持ちがいいものです。もしそれで今まで知らなかったものに興味が湧くなら、とてもいいことです。

誰かとつながることと、自分の心地よい世界を保つこと、どちらも大切なことです。やれるときで大丈夫なので、自分がどちらかに偏りそうだったら、別の趣味を探してみてください。