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抗うつ薬の体験談【エスシタロプラム】

私が飲んでいたのはエスシタロプラムです。飲んでいた期間は約2か月程度です。

この薬を処方された当時、私は単身でカナダに住んでいました。ストレスになる出来事が続き、ついに心のストレス耐性のバケツが溢れてしまったのです。

急遽日本への帰国を決めたのですが、その前にとびこみで診てもらえる内科に行きました。カナダでは一般的に、家庭ごとに「ファミリードクター」というかかりつけ医をもっています。まずはその内科ファミリードクターに診てもらい、メンタルクリニックのような専門の病院へ紹介してもらいました。

私のような単身移民は、ウォークインクリニックというとびこみで診てもらうクリニックへ行く人が多いのです。そこで、眠れない、涙がとまらない、夜中にこわくなって頭がおかしくなりそう、食欲がない、身なりを整えるのが億劫、趣味さえ楽しめないといった症状を医師に伝えました。

自身でうつ病チェックリストをつけていたこともあり、うつではないかと疑っていましたが医師も同意見でした。ただ、専門クリニックではなかったので正式な診断ではありませんでした。

とりあえずも処置として抗うつ剤を処方するとのことでこの薬をもらいました。英名はApo-Escitalopram 10mg、日本名ではエスシタロプラムというようです。これを毎日決まった時間に、一日1錠飲んでいました。心配していた副作用などもなく、とりあえず飲み続けました。

帰国後は家族のもとでゆったり過ごし、少しずつ元気を取り戻しました。正直、薬の効き目はよくわかりませんでした。それでも、言われた分量を飲み続けていました。

帰国から約2か月後、ようやくメンタルクリニックにかかることができました。予約から1ヵ月以上も待ちました。たいして人口も多くない地方のクリニックですらこんなに待つのかと驚きました。この状況から考えても、心を病んだ人のなんと多いことかがわかります。

クリニックでは、これまでの経歴やカナダでのことを細かく話しました。帰国から2カ月経ち、家族や友人のそばで安心して生活できており、症状も落ち着いているとのことから薬をストップしてみようと提案されました。私もそれに同意し、1週間後また診察に行きました。

薬をやめてみて、正直なんの変化もありませんでした。医師によると、私はうつ病ではなく、おそらく適応障害だったのだろうとのこと。

エスシタロプラムは、脳内のセロトニンの量を調節する薬です。うつ病患者はこのセロトニンが少なくなっているので、薬でセロトニンを適切な量に調整するのです。私の場合、薬の効果を感じなかったということは、セロトニンの量は実は減っておらず、うつ的症状の原因となる環境から離れたことが改善につながったのでしょうとのことでした。

こうして私は薬を飲むことをやめました。病状と薬がマッチしていなかったので当然効果はありませんでした。それでも特に困った副作用もなく、決まった分量を正しく摂取していれば危険なことはないんだなとわかりました。

抗うつ剤と聞くと、副作用を心配したり危険視する人が多いですが、その必要はないと思います。しかし、もうこれからは抗うつ剤を飲まなくてもいいよう、ストレスとうまく付き合っていきたいなと思います。