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抗うつ薬の体験談【スルピリド】

私が初めて抗うつ薬として処方されたのが、「スルピリド」という薬でした。

眠れない、疲れが取れない、勝手に涙が出てきてしまう…といった諸症状に悩まされた私は、近所の心療内科を受診しました。軽いうつ病と診断され、睡眠導入剤とともにスルピリドの服用を始めました。

抗うつ薬というと、強い副作用に襲われるという怖いイメージがありましたが、そのことを素直に医師に告げると、「この薬は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療にも使われる薬で、決して怖い薬ではないよ」と言われました。

意を決して服用を始めてみると、想像していたような副作用はほとんどなく、安心して治療に取り組むことができました。

しかし、服用を始めてから2週間ほど経ったある日の朝、とんでもない事件が起きたのです。

朝目覚めると、なぜか寝間着の上半身がかすかに湿っていました。寝ている間に涎でも垂らしていたのかと不思議に思いながら濡れている箇所を確認すると、どうやら胸の部分が2か所濡れているようでした。

訳もわからず自分の胸のあたりを確認すると、乳頭からサラサラとした白い液体が出ていることに気付きました。つまり、母乳のようなものが出ていたということです。

もちろん妊娠しているはずのない私は、心配になってインターネットで情報を収集して、最終的に辿り着いたのが、私が飲んでいた「スルピリド」の情報だったのです。

起こり得る副作用の欄をよく見てみると、そこには「乳汁分泌」の文字がありました。脳下垂体から分泌される「プロラクチン」というホルモンの分泌を促進する作用があり、それによって妊娠も出産もしていないのに胸が張ったり、母乳が出たりすることがあるそうです。

この「プロラクチン」というホルモンは通常、出産後にさかんに分泌されるものです。それが妊娠前に過剰分泌されると、先に挙げた症状以外にも排卵が抑制されることにより月経が来なくなったり、男性では射精異常が起こったりするといいます。

将来妊娠できない体になっては困ると、すぐに薬を別のものに変更してもらいましたが、スルピリドの服用を中止した後も2週間ほど乳汁の分泌に悩まされました。

想像していた怖い副作用こそ起こらなかったものの、いずれ妊娠することを望んでいる若い女性にとっては十分怖い副作用でした。

処方の際に説明してくれなかった当時の医師や薬剤師には少し憤りを感じますが、薬の説明をきちんと読まなかった私自身にも責任はあると思います。この件で、絶対に安全な薬など存在しないのだと改めて実感しました。


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