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抗うつ薬の体験談【パキシル】

私は、パートをしながら二歳半の息子を育てる一児の母です。数々の困難を乗り越え、現在はなんとか育児も軌道に乗り始めたところです。

私が抗うつ薬を服用するきっかけは、三年ほど前に遡ります。

大学三年生の夏の終わり、私は息子を妊娠しました。大学の四年目を休学して結婚、出産することを決意します。

悪阻が酷かったため吐き気と戦いながらなんとか三年生を通いきり、春に、晴れて息子を出産しました。

しかし、息子は産声をあげず、すぐさま大きな病院に搬送されてしまいました。検査の結果、息子には先天性の心疾患があり、今すぐに手術しなくては生きていけないとのことでした。

目の前が真っ白になりあまり記憶もありません。生後すぐに行われた手術は無事成功しましたが、そこから一年の間に傷口の感染症や肺炎で入退院を繰り返しました。

生死の境を何度も彷徨う息子の世話をするのは、とても神経を使いました。ベビーバスは感染症の原因になりやすいので毎回ピカピカに磨き、嫌がる薬もなんとか毎日飲ませていました。

それでも長い入院生活を共に過ごしてきた私にとって、息子と家で過ごせることが大きな幸せでした。

しかし、そんなある時、ふと全てが出来なくなってしまったのです。薬を飲ませなくてはいけない、ミルクを与えなくてはいけない。分かっているはずなのに体が動かず、動悸がし、ひたすら泣き出したい気持ちに駆られていました。

こんなことは初めてだったので、すぐさま実家の母に相談し、知り合いも通院しているというクリニックに行くことにしました。

クリニックでの診察の結果、うつ状態とのことでパキシル錠10mgを処方され、その日の夜から飲み始めました。

このような薬を飲むのは初めてだったので、本当に気分がよくなるのか半信半疑ではありましたが、それから一、二週間で、母の助けも借りながらではありますが最低限の家事育児に戻ることができました。

私の場合は一日一回、夕食後の服用だったので、お昼ごろになると動悸がしたり手が震えたりといった体調の変化があるような日もありましたが、日を追うごとに少なくなっていきました。

母の助けを借りなくても生活を送れるようになったのは、服薬から一ヶ月後くらいの時でした。

そして、大学五年目にあたる春には四年生として復学することができました。家事や育児との両立、卒業論文を書く時間の確保など大変なことは山ほどありましたが、薬の力を借りながらも、挫折することなく、無事に大学を卒業することができました。

私のうつ状態が改善されたのは、通院や服薬による治療はもちろん、薬を服用しているという安心感、診断を受けたことによって自分は怠けているわけではないという自信、また周囲の理解もあったからだと思います。

そして、幸いにも症状が出てすぐにクリニックに行くことができたので、思っていたよりも早く元の生活に戻ることができました。私はこの経験を嫌な思い出にするのではなく、周囲に悩んでいる人がいたら少しでもアドバイスができるよう、忘れずに生きていこうと思います。


パキシルジェネリック(ペクセップ)30mg

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