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うつ病の体験談【うつ病の方に対する会社の対応】

当時自分の勤めていた会社内での実体験をご紹介します。

たまたま私は、若い男性社員が会議室で泣いている所を目撃する日が何日か続いていました。事務室内では普段と変わらない様子に見えたので、仕事で大きなミスでもしたのだろうと、特に気に掛けていませんでした。

しかしその翌週、彼の不在の朝礼で、所属長から休職が発表されました。

社内の規定に則り、まずは1ヶ月の休職、その後2週間は昼までの勤務、更にその後2週間は夕方までの勤務を経て復帰になるということでした。

休職の理由については明らかにされませんでしたが、優しく接して温かく迎えてあげるようにしてくださいとのコメントがあったため、皆はなんとなく理由を察したといったところでした。

1ヶ月後、戻ってくるはずの彼は戻って来ませんでした。若手社員は寮生活のため、年齢の近い他の社員と寮で顔を合わせる日もあるそうですが、先輩も後輩も誰も話し掛けはしていないそうでした。

寮費の集金などの必要なやり取りも若手は誰もやりたがらず、わざわざ所属長が訪れているようでした。また更にその翌月も、まだ彼は戻って来ませんでした。

彼が休職し始めてから3ヶ月が過ぎた頃に、社員が集められてコンプライアンス研修が行われました。内容は、うつとは、に始まり、接し方や言ってはいけないワードなどの説明でした。

端的にまとめると、原因はその人物が1人で背負い込んで頑張りすぎたことによるパンクで、発症した人に対しては頑張れや甘えているなどの言葉を用いてはいけないということ、また周囲の人間が気を遣って優しくコミュニケーションを取ってあげるように、とのお達しでした。うつに対する社員の理解向上を図る教育といったところでした。

その翌月、やっと彼は午前中の出勤の形で戻って来ました。しかし、休職中に他の勤務地から人が増員補充されていたため、元々彼の受け持っていた業務も、座るべきデスクもなくなっていました。

彼は本来の島の隣の、女性パート社員が集められた島の空き席へ席替えされました。業務内容は、ダイレクトメールのシール貼りやリストの入力などが与えられていましたが、それはパート社員が隙間時間に行うようなものでした。もちろんそのような環境では彼は休みがちでした。周囲の人も誰も話し掛けていませんでした。

しかし、職場復帰ルールにおいて、時短勤務期間に休みが続くと解雇を言い渡されるという決まりがあり、そのことは社員は皆なんとなく知っているものでした。そのため、より一層ヘタに接するとまずいという意識が働き、彼は完全に孤立した状態に陥っていました。

ただ彼は、彼自身の強い意志により、復帰の緩和期間を無事終了し、通常の勤務へ戻ることができました。そして程なくして、会社より地元への転勤を命じられ、旅立って行きました。

このような、会社に設けられた救済措置というのは、その存在だけで大変社員に優しいものだろうと思います。休職することもできない人々も多く居る中で、命を守る制度であると言えるでしょう。

しかし、同時に周囲の社員にとってはまさに腫れ物そのものの忌むべき存在となってしまい、全く歓迎されたものではないというのも辛いことではありますが事実です。

会社からの指導としても、休職者に優しく接してくださいとしか説明のしようがないため、本質的な救済者は現れません。

最後の砦は、業務上責任を持たされた直属の上司の人柄、一重にそこに全てが掛かっていると言えるでしょう。

ご紹介した彼が職場に復帰できたのも、やり取りを担って世話していた所属長の人間的対応が功を奏したものだろうと思われます。