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うつ病の体験談【うつが自分の一部になるまで】

私がうつ病になったのは20代前半のころで、パニック障害が引金でした。それからもう20年くらいのお付き合いになります。

その当時はネットも普及していなかったため、パニック障害がなんなのかよくわからず、自分を責める毎日でした。お医者さんも「大丈夫だから」というだけで、細かな説明もなく、毎日なぜ治らないのか考えていました。

当時は首都圏で暮らしていたので、電車・バスなどの公共交通機関に乗車するたび過呼吸をおこす生活に疲れ果てていました。症状が安定しないことに対する不安感と、情報不足による苛立ちを常に感じていましたし、それらの矛先を自分自身に向けていたと記憶しています。このように、自罰的に自分を追い込んでしまったことで、私はうつ病になりました。

このような状況が好転したのは転居でした。首都圏から地方都市に移り住んだことで、電車やバス中心の生活から、自家用車中心の生活になったのです。それにより私が苦手とする公共交通機関を使用する頻度が減り、それにつれてパニックをおこしたり過呼吸になったりすることが減りました。

仮に発作が起きたとしても、自家用車であれば、どこか適当なところに車を停めて発作が落ち着くまで耐えることができます。私は見栄っ張りなので、他人が見ている前で苦しむことができなかったのです。このようにしてパニック障害が落ち着いたことで、うつ病も軽快していきました。

また、自分に合ったお医者さんに出会えたことも状況が好転した要因のひとつだと思います。私は「パニック障害やうつ病は治さなければならない」と思い込んでいたのですが、転居後に出会った先生は「精神的に無理をするくらいなら治さなくてもいい(そうすることで結果としてよくなる)」という治療方針をお持ちでした。私にはとても適した治療方針だったと思います。

時期によってはうつ状態になったりしますが、常態的にうつが続くことはなくなりましたし、過呼吸の発作を起こしても5〜30分程度で状態を立てなおせるようになりました。

私はいまでも精神科に通院して、服薬治療を継続しています。特に頑張って根治する必要性がない程度まで病状が回復したため、無理に治そうとして症状がぶり返すよりは、いい状態を維持した方がよいからです。

以前の私は、うつ病は治さなくてはならないと思い込んでいました。そのため、無理をしてはまた具合が悪くなることを繰り返していました。おそらくこのようにしてリバウンドしてしまい、状態が悪くなってしまう方もいると思います。

もしそういった状況にあるのならば、ひとつの方向性として、頑張って無理やり治そうとせず、うつ病を自分の一部として考え、長い間付き合っていくことを考えてみてはいかがでしょうか。