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うつ病の体験談【私の父親】

これは私の父親の話です。

裕福ではない我が家のためにどんな仕事でもこなし、週末には必ず疲れた顔一つせず兄弟3人をどこかに連れて行って遊んでくれる。そんな父親でした。

父は曲がったことが嫌いで、一度決めたことは途中で投げ出さない。
それが私達との約束事で、何があっても自分でやりたいと始めたことはやめさせてくれませんでした。

病気一つかかったことがなく、病院が一番嫌いな父親が突然倒れたのは55歳を過ぎたある日のことでした。

仕事中に吐き気やめまいから倒れ、長女である私に連絡がきたのです。
私はたまたまその日、仕事で家の近くまできていました。

仕事を切り上げ、慌てて病院に行くといろんな検査が終わり、点滴をしながらぐったりした父親が一言、「ごめんね」と謝るのです。その日も一緒に結果を聞き、入院した方が安心だよと先生はおっしゃいましたが、「家に帰りたいです」と言い張るので、薬をもらい家に帰りました。

症状が出たり治まったりするため、後日改めて三半規管の病気や、内科、更年期など様々な病気を調べましたが原因はわからず、最終的にうつ病と診断されました。

絶対に休まなかった仕事を休みがちになり、気分の浮き沈みも激しく家族は困惑しました。
古くからの親友は子育ても終わって安心したんだねと言います。

母親は子育てにはお金がかからなくなったとはいえ、自分達もまだ食べていかないといけないからもう少し頑張ってほしい、と悩みました。仕事を休まずに頑張ったら仲のいい人達呼んでお食事会しよう、と励ましてみたり、こんなに休まれると生活が厳しいし、仕事も切られるよと正面から向き合ってみたりもしました。

父が通う会社の人も、どんなふうに接していいかわからず試行錯誤でした。
母親も気に病むのではないかと思うほどに落ち込んでしまいました。

ある時は「終活を始めた」と打ち明けられ、家の不用品をきれいに捨ててしまっていました。
どうしたら家族みんながいい形になるのか、とても悩みました。

少しずつ環境も変えていき、うまくいかない状況に周りもうまく耐え、最近となっては落ち着きを取り戻しました。本人や家族だけでなく、同僚や友人含め、対処がとても難しく悩み苦しむ病気です。

同じ症状で同じ処置、同じ薬を飲んだら治る、というわけではなく、それぞれ症状も声掛けの方法も違ってきます。そんな中でうまく気分転換をしながら、これから先長くうまく付き合っていかないといけないな、と実感しています。

 

イーブックジャパン