うつ病・抗うつ薬の体験談を500件以上公開しています

うつ病の体験談【薬は自分を守るためのもの】

実際にうつ病を体験された方の体験談を載せています。

学校に行きたくない。それが最初に感じた不調でした。夜になると眠れない。朝になれば頭と腹が痛くなる。教室に居るのが怖い。遅刻と早退の繰り返し。そんな中学校生活を送っていました。きっと自分は重篤な病なんだ。そう思い、病院で精密検査も受けました。

しかし、どこにも異常は見当たりません。こんなにしんどいのに異常無しなんて、今の医学では治せない難病なんだ。ますます自分を追い込むようになります。担当医の先生が「学校が休みの日は?」と訊ねてきたので、「休みの日は大丈夫です」と応えました。


「じゃあ、心療内科を受診してごらん」と紹介されました。当時は心療内科なんてものを知らず、精神の病なんて可能性すら思いつきませんでした。問診の結果、うつ病と。やっと病名が判明した。ひどく安心したのを覚えています。これで堂々と学校を休める。もうズル休みなんて言われない。そのまま中学校を卒業して、高校には行かず就職しました。

働けるようにもなり、しばらく病院には行かなくても良いように。ですが、数年して再発しました。わたしは再発していることに気づかず、仕事の疲れが溜まっていると放置。会社を休みがちになり、数ヶ月単位で休むようになってしまいました。心配した上司に「何もしたくない」と打ち明けると、精神科を受診するよう勧められました。

学生の時に通ったところとは別の病院です。その上司もうつ病を患っていたらしく「症状が似ている」と。精神科に行き、問診票を記入。かなり危険な状態だと診断されました。それを聞いても、どこか他人事でした。自分の命さえ、どうでもいいと思い始めていたのです。

服薬治療が始まりました。ですが、薬を飲む気力さえありません。薬を飲めば治る。でも、うつ病が治ったら働かなきゃいけない。働くのは嫌じゃないけど、またしんどい思いをするのは怖い。でも、病気は治したい。そんな複雑な精神状態でした。思いきって会社を退職することにしました。

もう働かなくていいんだ。そう思うと、治療に専念できました。薬を飲んで寝る毎日。それこそ一日中グッスリと。食べて、薬を飲んで、寝る。そんな毎日が続きました。今まで眠れなかった分を取り戻すかのように、とにかく寝て寝て寝まくりました。

何回目かの通院のとき、先生が「初めて会ったときより表情が明るくなったね」と言ってくれました。人前で笑えるようになっていたのです。すごく満ち足りた気持ちでした。灰色だった世界が色鮮やかに見えます。太陽って、こんなに暖かいものだったのか。

道を歩く人々が以前はバケモノに見えていました。自分の家ですら、お化け屋敷に見えて心が休まりませんでした。自分だけ違う世界に迷い込んでしまったような感覚。治療を続けることによって、少しずつ呪縛が解かれていきました。今も治療は継続しています。

嫌な事や苦しい事があると、また怖い世界が顔を出します。自暴自棄になることもあります。ですが、薬を飲むことによって戦える力と自分を守る力が身につきます。服薬をすることで、ほんの少しだけヒーローになれるのです。