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うつ病の体験談【うつ病患者の家族にも支援は必要】

私の夫はうつ病です。 発症してから20年近い月日が流れました。 この20年の間には、「うつ病は完全に治ったのではないか」と思えるほど元気に過ごす事ができた期間もありますが、それはごく短い期間です。

夫本人が「調子が良い」と言っている時でも、ずっと近くに居た私から見ると、まるで綱渡りをしているような危うい状態が続いていたと思います。 最初夫がうつ病だと診断された時には「原因が分かれば治療方法も分かる」と、私はポジティブに捉えました。

夫も同様に感じたようだったので、こんなにも長い年月、夫のうつ病に悩まされる日々が続くとは想像もできませんでした。

20年の間、うつの症状が色濃く出ている期間と、比較的穏やかに過ごせる期間を何度も繰り返して来ましたが、繰り返す度に少しずつ夫の状態は悪くなっているように感じています。

以前なら「病気を治して早く仕事に復帰する」そんな夫の思いが感じられたのですが、今ではそんな意志を夫から感じる事が全くできなくなりました。

本当に呆れてしまうような些細な事で躓いてしまうのです。 例えば仕事へ向かうため車を運転している時「前を走っている車の運転が気に入らなかった」と言って家に引き返してしまい、その後暫く仕事へ行かなくなってしまう……そんな感じです。

夫の行動に怒りも感じますし不安も感じますが、責めても良いことはないと思いぐっと我慢をしています。 そんな我慢の毎日を送っている時でした。

うつ病を克服した人達の特集番組を2人で見ていた時、夫がボソッと言いました。「この人達は良いよな。周囲に支援してくれる人がいたんだよな。理解して支えてくれる人がいたんだよな。俺にだって支えてくれる人がいれば立ち直ることができるのに……俺には支えてくれる人が誰もいないんだよ。」

「俺には支えてくれる人がいない」その一言が深く深く胸に突き刺さりました。 夫にとって私の存在は何だったのでしょうか。 夫がうつ病を発症した時、医者からも周囲からも「妻であるアナタが頑張らないと」と言われ「アナタがちゃんと支えないから病気になるんだ」と責められました。

医者や周囲からの攻撃にも黙って耐え、夫が仕事を休んでも、夫の収入がゼロになっても不安を飲み込み、ただひたすら夫の回復を願って日々を送ってきたのに、夫にとって私の存在は何の支えにもなっていなかったと言うのです。

うつ病の夫は自分だけが傷ついているような言い方をしますが、周囲にいる家族も傷ついているのです。「病気が言わせたのかもしれない」そう考えようとも思いましたが……無理です。

うつ病になった人を支えてくれる人の存在は確かに必要ですが、その家族を支えてくれる人も必要だと感じています。