うつ病・抗うつ薬の体験談を500件以上公開しています

うつ病の体験談【自分がうつ病になるということ】

「うつ病なんて弱くて特殊な人がなるもの」と思っていました。生まれ育った地方都市では「精神病院に入院したら一生出て来られなくなる」などと言われていて、怖いなと思ったと同時に「自分とは関係ない」と考えていました。

就職してからは、ちらほらと「あの人もうつ病になっちゃったんだって」という噂を耳にすることもありましたが、「きっと根暗で陰気な人なんだろう」と気にも留めませんでした。

ただ、勤務先は居心地の良いところではありませんでした。職員同士の雰囲気も悪かったですし、他部署ともギスギスしていました。

周りからは9時5時勤務が期待されるような職場でしたが、実際はそんなことはなく、毎日退社は23時過ぎでした。それでもまだその日のうちに電車で帰れていた頃はまだましでした。

入社2年目で、会社のシステムは大きく変わり、担当者からの説明が不十分なまま、実務をこなしていかなければならなくなったのです。

他部署からも「昨年とやり方が全然違うがどうなっているんだ!」とクレームが殺到するようになりました。上司に助けを求めても「私にはわからないからあなたが何とかしなさい」の一点張りでした。

仕事内容の大幅な変更、システムの改変、鳴り続ける電話、増え続けるメール、私への質問待ちの行列で、仕事は多忙を極めました。その頃は毎日深夜2時くらいに退社し、休日出勤をしなければ業務が回らない状況でした。

私には同僚もいなければ先輩もおらず、上司は「わからない」を繰り返すばかりで、孤立無援でした。

胃の調子が悪かったり、風邪でもなさそうなのに咳が止まらなかったりなど、体の調子は悪いと感じていました。しかし、病院へ行って検査をしても「特に異常はない」と言われたため、つらいと思いながらも仕事を続けていました。

やがて食欲がなくなり、やせ細り、歩くのもやっとという状況になっていきました。「このままでは死んでしまうのでは?」と思いましたが、どういう病院にどう訴えればいいのかわからず困り果て、行きつけの内科に「ものが食べられないので食欲の出る薬をください」と伝え、気が付いたら号泣していました。

内科医は「これは心療内科だね」と言い、紹介状を書いてくれました。薄々そうではないかと思っていましたが、精神疾患に偏見を持っていた私は、自分がそんなところに通わなければならないことに耐えられませんでした。

ものすごく嫌でしたが、通院を始め、うつ病と診断されました。そのことは職場の人にも話しましたが、案外普通に受け入れてくれたのが唯一の救いでした。

うつ病にかかってしまった人たちに冷ややかだった私は、その人たちに心底申し訳ないと思いました。人にわかってもらえず、どうしようもなく苦しい病気というものがあるのだと思い知らされた一件でした。