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うつ病の体験談【鬱が身近になった日】

新卒で入社した会社では、2人の同期ととても仲良くなりました。1人は大人しくて聡明な女性のAさん、もう1人は底抜けに明るい女性のBさんです。

現場に配属されてから、3人とも慣れない仕事がとても忙しく、連絡も取れないような数ヶ月が経ちました。

ある日「一緒にご飯が食べたい」とAさんから連絡が来たので、配属ぶりに3人で集まることになりました。嬉々としてお店に向かうと、そこには化粧もせず、酷く顔色が悪い様子のAさんが肩を落として座っていました。

「仕事をしていると勝手に涙が溢れてくる」「通勤途中で事故に遭いたい」「明日が来るのが怖くて眠れない」「お風呂にも入れない」と呟く彼女を見て、「明日は仕事を休んで病院に行こう」とBさんと2人で説得しました。

診断の結果、彼女は鬱病でした。休職することになりましたが、不眠の症状が治ることはありませんでした。

鬱病はドラマやテレビの中の話だと本気で思っていたので、身近な人が鬱病になり本当に驚いたこと、彼女に対して何も声をかけることができない自分の無力さを感じたことを覚えています。

Bさんは、自分のことのように彼女のことを心配していました。しかし、Aさんが休職したことで、今度はBさんの仕事がとても忙しくなってしまいました。

Aさんが休職してから生存確認も兼ねて、3人で週1で会うようになっていましたが、3人で会う時Bさんは、Aさんを心配させないようにいつも無理していました。

Bさんは会うたびに顔色が悪くなり、少しずつ痩せて行きました。「Aさんがいなくなって、私が頑張らないとダメだ」と彼女は繰り返し言っていました。

数ヶ月後、道でBさんにバッタリ会いました。彼女は2人きりなのを確認すると安心したように「もうこれ以上働くのは無理」「どうしても休みたい」と本音をこぼしてくれました。

次の日Bさんは病院で鬱病の診断をもらい、休職しました。Bさんは数ヶ月仕事への不安でろくに眠れていませんでしたが、先に鬱になったAさんの「自然に涙が出てくる」などの症状がないため、自分はまだやれる、頑張れる、と思っていたそうです。

身近に鬱病の人がいると、彼女の方が辛いのだから支えなくては、という気持ちになってしまうものだと思います。現代社会で鬱病は誰でもなり得る、そして理解を深めていく必要を感じました。また自分で症状を判断してはいけないなということを実感しました。